法人情報
めざすもの
わたしたちは、この国で暮らす誰もが健康で文化的な生活を営む権利を有すると考えます。これに責任をもつのが国と地方自治体で、社会福祉法人はこの責任の下につくられた非営利組織です。
しかし昨今の福祉施策は、社会福祉の市場化と社会保障財政の圧縮をすすめ、地域の福祉課題の解決を、自己責任・家族責任と住民の「助けあい」に担わせようとしています。さらに社会福祉法人を営利追求の組織に変え、その財源で「互助」をけん引させようとする「法人改革」がすすんでいます。わたしたちはこのような動向を、社会福祉の根本的な変質をもたらす危機と考えます。
この危機を克服し、誰でもいつでも、どこに住んでいても、国の責任において必要な支援が受けられる社会福祉をめざすとともに、社会福祉事業を安定的に発展させるため「一般社団法人 社会福祉経営全国会議」を結成します。
活動方針
- 権利をまもるゆたかな社会福祉実践と、誰もが安心して利用できる社会福祉事業のために、人材の確保・育成、安定した財務の確立、風通しのよい職場づくりなど、経営の安定に役立つ活動を行います。
- 公的福祉を担う社会福祉法人として、その公益性・公共性・非営利性をまもるための活動を行います。
- 次代の社会福祉経営を担う経営職・管理職の育成を行います。
- 地域の社会福祉向上の拠りどころとして、支援を要する人、職員、住民、自治体とともに、誰もが安心して住み続けられる福祉ゆたかなまちづくりをめざします。
- 人権保障としての社会福祉労働を追求し、福祉で働く者の専門職としての資質を高め、それにふさわしい身分保障の確立をめざします。
- 非営利の社会福祉事業者と連携し、共通の課題を追求します。
- 社会福祉法人・事業のあり方について、その存在意義および今日的役割と課題を明らかにして、その実現のための経営実践・社会的な運動の課題を追求、提起します。
- 子ども、障害、高齢、生活保護など、各業種および分野横断の法律・政策・制度など社会福祉事業をめぐる動向を把握、研究し、内外に発信します。
- 上記の方針にもとづき、地域に政策的な発信を行うことに努め、社会福祉への理解と共感を広げます。そして、この国に暮らす人々の切実な要求と真の社会福祉の実現をめざし、国・地方自治体の議会や行政にはたらきかける活動を行います。
社会福祉法人をめぐる情勢
「自己責任・助けあい」による
社会保障への転換が本格化!
社会福祉法人は「助けあい」の主体に!
社会福祉法人の役割の推移 ~本来の国の役割はどこへ~
社会福祉、社会保障などを拡充するのは国の責務です。公の責任の下にありながらも、対等な関係でこれらを実現するために作られた非営利の民間組織が社会福祉法人であり、その経営責任は国にありました。
しかし、1990年代社会保障構造改革・社会福祉基礎構造改革によって、保育・障害・介護といった分野を問わず社会福祉事業に営利企業の参入が可能となり、市場原理が持ち込まれたこと(準市場化)で状況は一変します。これ以降、公的責任の後退が本格的に始まり、「自助・共助・公助」が徹底され、経営責任も社会福祉法人に転嫁されました。
さらに、2013年に始まる社会福祉法人制度改革・2016年3月の社会福祉法「改正」によって、厚労省は地域公益活動(「互助」)を責務化(24条2項)するとともに、法人の組織体制等を一般企業と類似した形に切り替え、国の責任の更なる縮小を図ろうとしています。
国が目指すのは「自助・互助」の社会保障
2015年、「骨太の方針」で公共サービスが成長のエンジンと位置付けられました。これにより、子育て・介護等に係る自己責任・家族責任(「自助」)がさらに強化され、社会福祉事業のさらなる市場化がすすめられています。現在、世代を問わず貧困層が拡大していますが、こうした中で「自助」が強化されれば、介護・支援難民が増大することは明らかです。
2017年の社会福祉法の「改正」により、地域住民の「助けあい(「互助」)」による地域生活課題の解消に係る理念規定が定められました(4条2項)が、これは「自助」で対応できない人たちの支援を地域住民に担わせようとするものです。また、これにより、2016年の法「改正」による社会福祉法人は、法人を営利追求の組織に転換し、その利益をもちいて「互助」をけん引させるための基盤づくりだったことが明確になりました。
社会福祉法人の本来的役割は何か ~「全世代型社会保障」を見極める~
現在進められている「全世代型社会保障」の本質は、「自助・互助」による社会保障への転換です。具体的には、1.高齢者や女性等への社会保障の給付削減と、2.さらなる自己負担の増をすすめつつ、3.生活の維持や支援を受けるために高齢者や女性が低賃金でも働かざるを得ないようにする(「支えられる側」を「支える側」へ)。そして、支援を必要としながらも働くことが難しい人たちへの支援は、社会福祉法人を中核とした地域住民の「互助」に転嫁する仕組みです。社会福祉法人の大規模化(連携法人の創設)も介護・支援難民対策の一環であり、最終的には営利企業との統合も狙っていると考えられます。
もちろん、地域課題への対応や連携・協働は重要です。しかし、これが私たちの掲げる社会福祉事業のあり方といえるでしょうか?私たちの理念を再確認し、権利としての社会福祉事業を実現するための行動と実践がいま求められています。
こんな活動にとりくみます
経営者をほっておかない
困っていること、悩んでいることに
寄り添い活動していきます
政策・運動
- 経営実態調査の実施
- 社会福祉事業の制度改善等に関する研究・政策提言
- 経営実態と会員の意見にもとづく「社会福祉事業に関する要望」等のとりまとめ、政府交渉
- 権利としての社会保障・社会福祉を
次世代育成・研修
- 基礎研修として、労務管理、財務管
- 緊急課題に応じた情勢学習
- 新人管理職を対象にした「管理職養成学校」
- 理事、監事、評議員等を対象にした経営職セミナー
経営サポート
- 行政資料に関する情勢分析情報誌「社会福祉経営info」(メール配信)を通じた情報提供
- 社会保険労務士、税理士、弁護士等専門家のネットワークを広げ、経営相談・情報提供に対応する体制作り
- 共同した求人活動の検討や人材確保・定着のための経験交流など、福祉人材対策への取組み
経営交流
- 福祉経営研究交流会
- 地域のつながり作りをめざした地域懇談会
情報発信
- 会報の発行
- ホームページ・SNSを通じて会の活動、行政情報の発信
ぜひご参加ください
全国の社会福祉法人経営者のみなさん、日々の事業運営ご苦労さまです。
私たちは日々、子どもたちや高齢者、障害者をはじめ、一人ひとりが大切にされ、健康でゆたかなくらしが営めることをめざし社会福祉事業をおこなっています。
しかしこの20年来、その環境が大きく変化しました。福祉予算の抑制とともに福祉の市場化がすすみ、現場は「競争」や「生産性」を求められるようになりました。輪をかけて福祉人材不足は経営の維持さえ難しい状況を生み出しています。この間おこなわれた社会福祉法人制度改革では、組織・会計の企業型への変更、財政措置のない地域貢献の実施など、社会福祉法人のあり方が問われ、さらに資金・人材を自前で融通できる大規模化や連携法人制度の創設など次の段階に進んでいます。これらの状況は、この国が戦後確立してきた「権利としての社会福祉」の後退ではないかと危機感をもちます。
この問題意識のもと、社会福祉事業の主たる担い手である社会福祉法人が分野業種を超え連携することが必要ではないかと各分野の団体と研究者で準備をすすめ、一般社団法人「社会福祉経営全国会議」を立ち上げることとなりました。全国の社会福祉法人経営者のみなさん、大いに交流し、研究・活動し、社会福祉の発展のため手をつなぎましょう。
一般社団法人 社会福祉経営全国会議
会長 茨木 範宏
「社会福祉経営全国会議」は非営利型一般社団法人です
- 設立総会
2020年4月30日- 会員・対象
正会員 社会福祉法人
準会員 非営利団体 個人等- 会員
正会員 事業規模に応じて
(3万~20万円)
準会員 1口1万円 1口以上- 事務所
大阪 東京
全国組織づくり・これまでのあゆみ
2016年 | 社会福祉法人制度改革施行をうけて、分野横断の全国組織づくりの検討を有志法人で開始 |
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2018年 | 2月「全国組織結成準備会」を発足(※参加団体・オブザーバー) |
2018年 ~2019年 |
学び、つながる活動を展開
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2020年 |
4月30日に設立総会 |
※社会福祉施設経営者同友会/愛知県民間社会福祉施設経営者会議/尼崎の社会福祉法人経営を考える会/全国民間保育園経営研究懇話会/21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会/きょうされん/日本障害者センター/総合社会福祉研究所/保育研究所/大阪保育研究所/全国の社会福祉法人有志